ドライブ

田舎に帰ってきて、実に10年近くぶりに頻繁に運転をしている。

ドライブは、時間も場所も囚われずに、いつでもどこでも好きなところに行けるのが良い。ちょっと走らせて近くのスーパーに行くのも、長い距離を走って遠出をするのも良い。

ただ手足をちょこちょこ動かすだけなのに、なぜだか心が落ち着き、車が進むのと同時に、考え事もすすむ。考え事というのは、心の平穏と共にある、気がする。ドライブはそれに最適なのだ。

ドライブの中でも、特に好きなシーン。高速の合流。それは、芸術的ですらある。混んでいる時は、合流する側とされる側が、1台1台交互に入りながら進む。誰も止まりもせず、いたってスムーズなのだ。川のように、車が流れていく。誰も流れを堰き止めず、とにかく前に進む。

『ドライブ・マイ・カー』という映画を観た時は、まだ都内で生活をしていた。そのころは、ドライブが中心となる物語に、イマイチ親近感が湧かなかったのに、田舎に越してきた今、ただ運転をし、車の中で感じること、考えることにドラマが生まれることがよくわかる。

ゴールド免許なのに初心者のわたしは、未だ不慣れすぎて、曲がる角度がわからなかったり、ウィンカーの前に急ブレーキを踏んだりしてしまう。ひやひや。そのうち慣れるんだろうか。

高速の芸術的な流れにスイスイと入れるようになる時はくるかしら。東京にまでさくっと車で遊びにいけたら、田舎人として一人前。それは来年の目標にしよう。

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